いわゆるエンジニアという言葉は、エンジニアリングといった言葉から生まれているわけですが、改めてエンジニアリングの種類からその役割までを解説していきたいと思います。
目次
エンジニアリングとは何か?
このエンジニアリングは、直訳すると『工学』という意味を指します。
また、『工学』とは、”数学と自然科学を基礎とし、ときに人文社会科学の知見を用いて、公共の安全・健康・福祉のため有用な事物や快適な環境を構築することを目的とする学問である”、と定義されています。
もっと身近な言葉で訳すならば、科学を実用化し、人間の生活・暮らしに役立てることを目的とする技術と言えます。
モノを作る技術をハードウェアに関する技術とするのなら、エンジニアリングはモノとモノを組み合わせて、いかに機能を発揮させるかを追求するソフトウェアに関する技術であると置き換えることができます。
最近では身近な職業の一つとして、ITエンジニアが認知されています。
学生の将来なりたい職業ランキングにもランクインするほどです。
IT業界でのエンジニアリングとは、企業が運用しているサービスやシステム設計、あるいは様々な企業から個人まで取り組んでいるアプリケーション開発、多くの人々の生活・暮らしを支えるインフラに至るまで、社会におけるあらゆる目的を達成するための技術の総称であることを指します。
そして、こういったIT業界で活躍している人々のことを、『ITエンジニア』と呼んでいます。
エンジニアリングの種類とは?
エンジニアリングといっても、数多くの種類が存在しています。
また、時代によって新しく求められるエンジニアリングなども存在します。
ここでは代表的なエンジニアリングの種類を基本として、実例を加えながら説明していきます。
・システムエンジニアリング
・サーバーエンジニアリング
・ネットワークエンジニアリング
・Webエンジニアリング
・データベースエンジニアリング
・組み込み系エンジニアリング
・AIエンジニアリング
それでは、一つ一つ解説していきたいと思います。
システムエンジニアリング
世間では、システムエンジニアのことを”SE”と呼んでいます。
そしてシステムエンジニアリングは、サービスやアプリケーションに関するシステムに対して、要件定義・設計などのスキル全般の技術を指します。
最近では、プログラミングスキルが注目を浴びており、エンジニアの認知度が高まっているように思えますが、SE・PG(プログラマー)・〇〇エンジニアといった言葉の使い分けで間違えている人がまだまだ多いように感じます。
つまるところ、SIer企業とWeb系企業の違いがわからないからこそ、職業に関する言葉の使い分けがわからない人が一定数見受けられます。
こういった業界の違いからエンジニアリング(技術)の種類を理解しておくことは、とても取り組む上で大切です。
サーバーエンジニアリング
サーバーに関する設定・運用・保守など、サーバー全般の技術を指します。
おそらく個人でブログなどを運営している人であれば、エックスサーバーやロリポップといった有名どころのサーバーは見かけたり、利用している人もいるかもしれません。
企業などが扱うもので言えば、GCP(Google Cloud Platform)やAWS(Amazon Web Services)などが代表的かなと思います。
また、IT企業で働く多くのITエンジニアは、会社内でAWS認定試験などを受け、資格などを獲得する人もいらっしゃると思います。
それほどサーバーだけのスキルであっても、設計・構築・運用・保守で手に入れなければならない技術は多く存在します。
ネットワークエンジニアリング
ネットワークエンジニアリングは、インフラを支えるインターネットなど、様々なネット環境を整えるための技術を指します。
IT業界に携わっていない人であれば、あまり馴染みのない技術だと思います。
基本的に電話会社(キャリア)同士のネットワークが整備されていたり、大学や病院といった特定の建物だけで利用できる閉域ネットワーク、新幹線等の乗り物内で何気なく電波が移り変わる状態(ハンドオーバー)をスムーズに行うための電波強度計測など、ネットワークエンジニアリングあってこその成果です。
また、ネットワークエンジニアであれば、Ciscoルータを基本的に扱い、必要に応じて様々なルータ(有線・無線)やスイッチ(L2・L3スイッチ等)、ロードバランサーなどを利用しています。
Webエンジニアリング
Web上に関する技術全般を指します。
Google検索などでヒットするブログ記事やホームページもWeb上の情報として表示されているので、Webエンジニアリングによって成り立っているものになります。
その他にも、Web版のアプリやシステムもWebエンジニアリングによって成り立っているわけです。
SIer企業で言えば”PG(プログラマー)”、Web系企業で言えば”〇〇エンジニア”がWebエンジニアリングを保持していることが多いです。
データベースエンジニアリング
データベースエンジニアリングは、多くのネット情報を蓄えているデータベースの役割や基本性能の理解・操作ができる技術全般を指します。
基本的にデータベースは、意図的に隠蔽されているもの(多くの情報源となるため危険から回避する必要がある)なので、全く馴染みがない人がいてもおかしくないと思います。
IT業界で働く経験が浅かったり、触れる機会がなければもしかすると生涯出会うこともないかもしれないです。
こればかりはどんな企業でどう働いているかによって変化しますが、データベース自体は今の社会になくてはならない存在です。
データベースに存在する多くの情報を『ビッグデータ』とも呼びますが、このビッグデータを利用し分析することで、様々な分野が改善されるきっかけにもなります。
また、データベースとは機能や構造を表す抽象的な概念であり、『DBMS(DataBase Management System)』はそれらを実現するために作られた具体的なソフトウェアを指します。
そのため、OracleやMySQLといった具体的な製品は、「DBMSであってデータベースではない。」というのが正しい区別になります。
製品名に対して全てデータベースという単語に置き換えて意味を間違えている人がいますが、データベースとDBMSという二つの単語を使い分けると良いでしょう。
組み込み系エンジニアリング
組み込み系エンジニアリングは、カーナビやオーディオ機器、テレビやその他の生活家電など多種多様である電子機器に使用されている電子部品に使われる技術です。
大きいものでは飛行機や自動車にも使用されていたり、金融系の仕事にも役立てられています。
ハードウェア系の仕事にも興味や関心がある人は、調べてみるのも良いと思います。
AIエンジニアリング
AIエンジニアリングは、機械学習(教師あり学習・教師なし学習やディープラーニングなど)に関するAI全般の技術を指します。
今では当たり前のようにAIや人工知能といった言葉が認知されています。
また、AI搭載のドライブレコーダーアプリ、AI面接サービス、AIによる完全自動化運転技術の開発など、様々な分野でAIが活躍しています。
IT業界でプログラミングスキルは重宝される
IT業界ではあるある話ですが、実はプログラミングスキルを持って働いている人は少数派になります。
もちろん、プログラミングスキルのレベル感にもよりますが、基本的にそもそもプログラミングをしたことがない人が圧倒的です。
個人的に業務効率化ツール程度であったり、バッチファイルといったスクリプトファイルを作成する人ですらかなり少なく、開発経験がある人はさらに少ないです。
というより会社で開発経験ある人は、システム開発部でしかないと思います。
そのため、代表的なエンジニアリングの種類を解説しましたが、プログラミングスキルを持っている人はその中でも少数であるということです。
そのため、何かを生み出すことができるというのは、それだけで重宝されるスキルということになります。
ITエンジニアリングで何が変わるのか?
ITエンジニアリングで変化するものとは、人々の生活が豊かになることです。
しかもその豊かになっていくまでの速度は圧倒的です。
例えば、現在誰もが所有しているであろうスマートフォンの普及です。
携帯電話の代替として利用し始めていますが、もはや小さなPCになっています。
携帯電話としての役割で収まらないほど有用なモノとして重宝されています。
もはや現代人にとって無くてはならないものであり、手放すことは困難でしょう。
携帯電話だけにとどまらず、SNS(Social Network Service)といったアプリケーションも普及し、当たり前のように利用されています。
大半のプライベートの時間は、SNSの利用時間がほとんどを占めていることでしょうし、老若男女問わず多くの世代で活用されています。
時間を有効で効率的なものにしてくれているのが、ITエンジニアリングであると言えるでしょう。
ITエンジニアリングの今後の技術進歩
2020年の1月現在で言えば、空飛ぶタクシーの開発であったり、トヨタとソフトバンクによるAI完全自動化運転技術への取り組み、キャッシュレス決済を目指す金融業界のエンジニアリングなどなど、挙げ出せば本当にキリがありません。
おそらく今後もITエンジニアリングの技術的進歩はとどまることを知らないでしょうし、5年〜10年の期間内で今の生活レベルを上書きするような技術のオンパレードが押し寄せてくるだろう思っています。
また、そういった技術革新が訪れた時に、求められるIT人材であるかも非常に重要なポイントになります。
今では当たり前のように目にするYouTuberという職業があります。
しかし、新しい分野の職業がITエンジニアリングによって生まれることもありますが、同時に過去の不必要(時代的に合わない)となった職業も淘汰されていくことになると予想されます。
人がより良いものを追求するほど、要らなくなるものも出てきます。
ITエンジニアリングによって創造できるからこそ、破壊(あるいは自然淘汰)できてしまうものも存在することを認識しておかなければなりません。
IT人材不足の深刻化
やはり、ITエンジニアリングの技術進歩が引き起こすのは、メリットだけではありません。
デメリットの部分も引き起こしてしまいます。
そのデメリットというのが、IT人材不足の深刻化になります。

こちらは2015年度の経済産業省データになります。
こちらのデータを読み解くと、、、
・2015年時点で約17万人のエンジニア不足
・2020年に約37万人のエンジニア不足
・2030年に約79万人のエンジニア不足
これだけの人材不足の深刻化がデータとして現れているのが現状です。
人材不足が深刻化しているということは、世間からすればそれだけエンジニアを求めている状況にあると言えます。
さらに詳しい内容は別記事にまとめていますので、よろしければそちらも参照していただけたらと思います。
エンジニアを目指すならプログラミングスキルが必須
前述した通り、現在ではまだまだプログラミングスキルを保有しているITエンジニアは少数派ですが、今後圧倒的に重宝され、当たり前のようにプログラミングスキルを保有しているのが前提となることが予想されます。
学生であっても社会人であっても、これからエンジニア就職・転職などを考えている人であれば、避けては通れない課題であると言えます。
また、自分自身が働くであろうIT業界の現状をしっかりと理解しておくことやカテゴリーの違い(SIerとWeb系)など、知識を取り込んで把握しておきましょう。
まとめ
エンジニアリングとは何か、エンジニアリングの種類や今後の技術進歩、IT人材不足に至るまで解説してきました。
また、今後求められる人材に必要なプログラミングスキルについても解説しました。
比較表及び無料体験の有無など、企業研究を交えたおすすめオンラインプログラミングスクールのまとめ記事もありますので、参考したい人は合わせて読んでいただければと思います。